2年、個人開発ゲームを続けて感じたこと

この記事が誰に向けたものなのかと問われれば、おそらく私に似た境遇の方向けなのでしょうが、できればあまり参考にしないでもらいたいと思っています。個々の問題は常にケースバイケースで、問題ごとに何とかするしかありませんでした。例外は人によってまちまちです。ただ少なくともこの記事では、そうしたケースバイケースに対して汎用的に使える回答を章末に用意できるよう努力するつもりです。悪しからず。

やむをえないから始めた≒必要がなければやるつもりはなかった

思うに、息子が生まれた日が今の生活の始まりだったように思います。

息子が生まれ、生活が一変し、「私+身重だけど自由は利く嫁さん」から「私+産後病み上がりの嫁さん+自分では何も出来ない息子」の生活になり、一気に状況が厳しくなりました。

予想はしていましたが、実際にやらないとその辛さは本質的には理解できない事があると、思い知る結果となりました。3時間おき(深夜でもお構いなし)にミルクをあげる生活は、嫁さんの実家の協力を得た上でも維持が難しい状況でした。

詳細は割愛しますが、ここで選んだのが「在宅業務」でした。

嫁さんの負担をなるべく軽減できるように、自宅で仕事を行い、可能なタイミングなら世話を手伝い、終業後すぐに育児に参加できる状況を作りました。

この時に、「自宅のPCだけでも、自分だけでも仕事ができる」と気づきました。

当時勤めていた会社ではテクニカルマネージャ兼ディレクターのような立場だったので、PRや問い合わせ対応等、担当外の一部を除いたゲームに関するほとんどの仕事をPCとウェブブラウザから行う事が出来ました。勿論デザインやオーディオ関連は私は門外漢で出来ないですが、仕上がったものを受け取ってゲーム内に実装する事は出来ます。

これが最初の気づきです。

しばらくして春が来て、子供にかかる手間が少しだけ減って親族の助力を必要としなくなったタイミングで在宅業務を切り上げて出社する形に戻りました。しかし、この状況が長くは続けられないと、しばらくして気づきました。

物理的に何とかできるラインは突破したものの、離乳食や体調不良などの息子のトラブルによって受ける精神的な負担が、嫁さん一人に任せて完全に放っておいたら危険だとわかりました。出来る限り負担を減らす、あるいは負担を逃がす先が必要だと感じました。しかし、これ以上親族にも無茶な助力を求められません。息子の世話は、これから数年に渡って続くものだったからです。

そうした焦りを感じている中、社内の新作リリース反省会で、「これまで以上にリリース時期を早める事に対して個別メンバーに負担をお願いしていく(意訳)」という旨の通達が降りました。要するにもっと残業等して欲しいという事でした。これが限界だと感じました。会社と家族なら、私は無遠慮に家族を選ぶ人間です。すぐに「辞める」話を始めました。

こうして、私は年末に退社しました。かなり無茶を言っての退社だったので、残るメンバーには大変迷惑をかけました。ケジメとして、退社直前には大掛かりなECサイト(外注)の稼働中リニューアル+商品管理システム同時構築のヒアリング・設計・開発・導入・保守・引き継ぎまでを全て1人で担当しました。(大晦日まで出社したように記憶しています) ただ、今でもサイトに行くとそのシステムが元気に動いているので、限られた時間の中で、当時出来うる限りの仕事が出来たかなと思っています。

本当は、出来る事なら、仲間にも恵まれた当時の環境のまま勤続してたくさんのタイトルに関わっていけたらと思っていました。しかし、在宅で出来る仕事を一時的にでも選ばざるをえないという個人的事情から、急転直下でフリーランスとして世に転がり出る事になったわけです。

私はこの記事で、フリーランスになる事を誰も彼もにオススメはしたくありません。出来る事なら、被雇用者でいる方をオススメします。それは単純に、物理的、経済的、精神的安定性のためです。わざわざやらなければならない事情あるいはそうしたいという強い意志がなければ、やるべきではないです。

ただ、どちらに転んだとしても、自分でやると決めたからにはそれに自分で責任を持つべきです。独立したい・独立しようと考えるなら、それがうまくいかなかったりした時の責任を誰かに転嫁するような心持ちでやってはいけません。たとえそれがやむをえない事情からであっても、手段を選択したのは自分なので、自分で責任を取らなければいけません。

決めた以上は、私は「在宅でゲームを開発し、その収入だけで食っていく」という事を決意しました。失敗した場合の結果は、家族の困窮。後はありません。


最近の売上は、そこそこ順調に推移し始めました。問題はまだ諸々ありますが、長期的に売上を安定させていくビジョンが、この2年目でやっと見えてきたと感じています。ここに至るまで、本当に時間がかかりました。

Buriedbornesリリースまでの間、およそ2年間でNussygame名義とohNussy個人とで以下のタイトルをリリースしました。

  • DeckDeDungeon
  • DeckDeFantasy

  • 閉ざされた山林にて
  • DeckDeDungeon2

  • オレと魔王の30分
  • B10 Memories Never Lasts
  • Buriedbornes

現在も新作は開発中で、それが2016年中に間に合うかはわかりませんが、今後も新作リリースを続けるつもりです。

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