”キモチイイ”ゲームを作る

一応先に言っておきますが、エロゲーの話ではありません。


誰のために、何のために作り、遊ぶのか

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「ゲーム」の歴史は非常に古く、チェスなどの原型は紀元前からあったそうです。

人は何のためにゲームを遊ぶのでしょうか?

人とのコミュニケーション、暇つぶし、エンターテインメント、etc…

色々あると思いますが、「何故遊ぶのか」の理由を解く上で知る必要があることは「ゲームを通じて何を得るか」です。

そしてまた、人は何のためにゲームを作るのでしょうか?

収益のため、作るのが好きだから、表現したいものがあるから…

こちらも、重要な事は「ゲームを通じて、プレイヤーに何を与えるか」です。

私は、主に「1人で遊ぶ豊かな時間」のために、ゲームを作り、そして遊んでいます。自分の、あるいは誰かのために、です。

勿論誰かと楽しむ時間もありますし、誰かと楽しむためのネットワーク機能も盛り込みますが、メインは常にシングルプレイできるゲームです。

コンピュータゲームは「1人で遊ぶ豊かな時間」を作り出しました。(それ以前にもソリティア系ゲームはたくさんありましたが、体験の豊かさは桁違いになりました)

「1人で遊ぶ豊かな時間」を理解しない人にとっては「暇つぶし」でしかないように見えるこの時間も、本人にとっては人生にとってかけがえのない充実した時間です。漫画や小説や映画などを楽しむのと同じように、ゲームを1人で遊ぶ時間そのものが目的となる、自分だけの素晴らしい時間なのです。

私が最も好むジャンルであるハックアンドスラッシュ(ハクスラ)は、この「1人で遊ぶ豊かな時間」に最も特化したジャンルの1つであると感じています。(ターンベースストラテジー等もこれに並ぶジャンルです)

そして、私が作るタイトルでは、この「1人で遊ぶ豊かな時間」の豊かさを最大化するために、ゲームを通じて1人の時間をいかに「気持ちよくするか」に重きを置いています。

それ以外の事に重きを置いたゲームもたくさんありますし、ゲームに何を求めるかは人によって多種多様です。そのどれが一番優れているだとか一番素晴らしいという話ではなく、色々な楽しみの中で、こういう楽しみが重要視されたジャンルがあり、私はそのジャンルの中で需要側としても供給側としても立っているとご理解ください。


「ネタ→どう感じるか」「どう感じるか→ネタ」

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この章の内容は、ハックアンドスラッシュに限ったものではありません。他ジャンルについても適用し、応用する事ができると思います。

ゲームを作るアプローチには色々ありますが、ゲームにはそれを通じてプレイヤーにして欲しい体験がそれぞれあります。

どういうゲームを作るかを決める時、まず自分が興奮できるアイデアありきで、それをプレイヤーがどう感じるかはプレイヤーに任せる手法があります。

それとは別に、まず「どう感じて欲しいか」を基点に、「どう作るか」を決める手法があります。

私のゲームは、この後者、「どう感じてほしいか」を先に決めて、「どう作るか」に反映しています。

このアプローチも、どちらが正しいというものではないものの、「ネタ→どう感じてもらうか」のアプローチには、製作者としては常に危険が伴います。

思いついた素晴らしいと感じられるネタでも、製作者が意図した通りに感じてもらえない事や、全く予期しないように感じられてしまう事があります。

それが、ストーリーなどの情緒的なものであれば思わぬ化学反応が生まれてうまく活かされる事もありますが、プレイする事でプレイヤーに不快感を覚えさせてしまうようなケースは出来る限り避けたい問題です。

そのため、Buriedbornesでは特に、「プレイする時どう感じられるか」をまず前提においてから、感じて欲しい感覚を意図して要素を盛り込むよう開発を行っています。

ここまでは抽象的な話でしたので、具体例を挙げます。

Buriedbornesでは、プレイヤーに「面倒だ」と感じられる要素を極力排しています。ゲームを始めて、プレイする中で「あれを見たりこれを見たり、色々考えながらでないと進められない」という事がないように、ダンジョン探索中のUIは常に「2~6程度の選択肢を選んでもらうだけで進める」事で構成しています。判断に必要な情報も1画面に収めます。拾ったアイテムの管理なども省き、「その場で入れ替え」にする事で簡略化しています。

こうした複雑さを徹底的に排した構成なら、プレイヤーは難しく考えずにゲームに入っていく事が出来ます。そうして「考える事を増やしたくなったプレイヤー」だけは、現在装備やパラメータ・スキル構成を俯瞰して装備を判断したりするようになります。一方で、「難しく考えずに遊びたいプレイヤー」は、そのままそうした詳細画面を開こうとせずとも遊び続けられるようにしています。それもこれも全て、Buriedbornesが「難しく考えなくても、トレジャーハントによる成長やそれによる新しい挑戦といったハクスラ・エッセンスのつまみ食いが気持ちよくて、ついつい続けたくなる」という感覚を持ってもらいたかったからです。

この他にも、プレイする上で徹底的に「キモチイイ」と思えるような細かい要素が散りばめられています。


”キモチイイ”のツカミ

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”キモチイイ”と収益との天秤

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