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第18話 『月蝕夜殺人事件(2) – 調査です』 Case: Moon eclipse night murder chapter 2 – “Under investigating”

雲が速い。 連日続く嵐は、テオドールにとって苛立ちを募らせるものであり、テレーズにとっては残されたチャンスであった。 領主屋敷の敷地内に停められたままの荷馬車は、いつでも出発できる準備が整っている。 だが、荒天の...
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第17話 『月蝕夜殺人事件(1) – 事件です』 Case: Moon eclipse night murder chapter 1 – “It is a case”

雲が速い。 木々のざわめき、旗がはためき、ぶら下がったバケツが打ち付けられる金属音が響き続けている。 通りに人の姿はなく、来るべき嵐に備えて家の窓や扉には、硬く板が打ち付けられて、出入りさえできないほど封鎖された屋敷も...
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第16話「暗夜のレクイエム(4) – ひとつの答え」 – Short story “Requiem in the dark night chapter 4 – One answer”

まるで野生生物が一匹もいないかのような静寂が、峡谷に根付く森を包んでいる。 本来であれば、この崖を降りるまでに、無数の魔物に歓迎されていてもおかしくはないはずである。 その日の峡谷は明らかに異常であり、普段見られる生物...
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第15話「暗夜のレクイエム(3) – “お前は誰だ?”」 – Short story “Requiem in the dark night chapter 3 – Who the hell are you?”

世界の終焉が迫る時代においても、土葬の風習が途切れる事はなかった。 屍者をそのまま土中に埋めてしまっても、呪いの餌食になるだけであったため、どの墓にも封印が施されている。 ただ、この封印も、あるいは外部の者によって取り...
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第14話「暗夜のレクイエム(2) – 髑髏面の男」 – Short story “Requiem in the dark night chapter 2 – Skullface”

屍術師アクェロンの名を知る者は少ない。 しかし、その道に関わる者であれば、知らない者の方が少ない。 稀代の天才であり、独創的で、ある意味では非人道的な発想の転換で屍術の新しい可能性を開いた研究者であった彼は、当然のごと...
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第13話「暗夜のレクイエム(1) – 情報屋」 – Short story “Requiem in the dark night chapter 1 – Information broker”

滅ぼされた市街の外れに位置するかつては郊外だったその一角は、今では小さなコミュニティの市場となっている。潰れされた家屋の一部を修繕して再利用したり、軒先の屋根だけ使って露店を構える者もいる。コミュニティの四方には名うての傭兵が配備...
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第12話「薫る桜花(4) – 奪い、奪われる世界」 – Short story “Scents of cherry blossoms chapter 4 – World of killing”

爽やかな陽気の中で、春の訪れを告げる新緑と花々の彩りが、山の斜面を染める。 満開の桜がまるでアーチのように、僕達の歩いているどこまでも続いていきそうな街道を祝福してくれているようだ。 装束姿のままで、彼は振り向きながら...
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第11話「薫る桜花(3) – 死に化粧」 – Short story “Scents of cherry blossoms chapter 3 – Makeup to death”

「この辺りに、間違いなくおるはずであるが…」 ケンゾーが、周囲を見渡しながら呟いた。 あれから二人で、サクラさんを一生懸命探したんだ。 気味の悪い風穴や、迷宮の奥深く。 そして、腐敗した貧民街の近くで見つけ...
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第10話「薫る桜花(2) – 花と花」 – Short story “Scents of cherry blossoms chapter 2 – Two flowers”

「あなたは、どこから来たの?」 あどけない少女が、屈託なく尋ねる。 初めて会った者同士が交わす、何気ない日常の会話だ。 しかしここでは、その全てが異常だ。 言葉を交わした場所は、迷宮の奥底。 尋ねる主...
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第8話「終焉の序曲(4) – そして、終わりなき戦いへ」 – Short story “Overture of the end chapter 4 – Endless warfare”

変貌した王の暴走により、城門周辺はもはや爆心地のごとき有様であった。大軍団の一斉砲火を受けたような惨状に、人も物も、原型を留めた存在はもはやなく、あるのは血と脂と埃にまみれ腕を振るい続ける巨人の姿だけであった。 そこから少し...
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